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Part16 認知で信頼関係を深める

認知で信頼関係を深める

『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ』
これは、山本五十六の人育ての極意とも言える有名な言葉です。
この言葉を管理職研修の場で紹介しながら、ほめることの重要さを説明することがあります。

「最近ほめられたことはありますか?」と聞くと、研修の受講者は一瞬戸惑ったような表情になり、うんうんと頷く姿といやーと首をかしげる姿になります。
比率はというと、断然首をかしげる方が多いです。
「では、最近ほめた経験は?」と聞くと、これもまた、ほめた経験のある方が断然少なくなります。

「ほめ育て」の重要さを知りながら、日本人は得てしてほめられることもほめることも苦手のようです。
Iメッセージ、YOUメッセージ研修の場ではほめる経験もほめられる経験も両方していただきますが、たいていこんなふうな表現が出てきます。

「仕事が早いですね」「いつも明るいですね」「声が大きくて元気ですね」「字がきれいですね」こういったほめ方をされると、人は嬉しくもあり、こそばゆくもなります。
人によっては落ち着かないのでやめてほしいと感想を言ったりします。

なぜなのでしょうか。
実はこの文章の主語はすべて「あなた」です。

これをYOUメッセージと呼びます。
YOUメッセージはドンピシャの場合嬉しいものですが、自分ではそう思っていない場合、相手は受け入れがたかったりするのです。
またYOU メッセージには相手に対する評価判断が含まれており、無意識に反発を生む場合もあるのです。

これに対し、「仕事の早さをいつも見習いたいと思っている」「いつも明るくて心が軽くなる」「声の大きさにいつも励まされている」「書類の読みやすさに助かっている」と言うような表現は主語が「私」です。
これをIメッセージといいます。
つまり、相手が「私」に対して起こした影響を相手に伝えていることになります。
人間は本来誰かの役に立ちたい、良い影響を与えたいと願っている存在です。
どんな風によい影響があったかを相手に伝えるのがIメッセージです。相手はそれが伝わったとき、安心してその言葉を受け取ることができるのです。

研修ではYOUメッセージをIメッセージに直し、もう一度伝えてもらいます。
そうすると、「さきほどより落ち着いて聞くことができ、受け取れます」と感想を述べる方がほとんどです。

認知相手の行動や振る舞いが自分にどう影響があったかを伝えると、二人の間のつながり感が増し信頼が深まります。それは単なる「ほめる」以上のものになります。

さらに深いところで信頼関係が結べるやり方が「認知」です。
これは、その人が何をしたかに焦点を当てるのではなく、その人がどんな人なのかに焦点を当てていくやり方です。
行為の奥にあるその人の想いやその人らしさといったところでしょうか。
「人となり」そのものを表現していくのです。

「仕事の効率をあげようとする意思を感じる」「職場のみんなを明るくしようとする思いやりが伝わる」「職場の意気を高めようとする姿勢が伝わっている」「丁寧な仕事をしようとする心がけを感じます」こういった言葉は相手の深いところに届、自信や行動の原動力になります。

ここまで相手を見ていくことは力量の要ることですが、練習することでできるようになります。

最初はぎこちないし、なんだか照れくさいとは思いますが、この言葉が相手に届いた時に何が変化するかを感じていただきたいのです。
ある会社では、研修後、ゲーム的に認知をI メッセージで伝えるということをやっているそうです。
上司も練習するのだという姿勢が部下に伝わりますし、ぎこちないながらも思いは伝わっているようです。

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