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Part17 人生を聴く

人生を聴く

あるチームの立ち上げに関わっています。

何度か会議を行うのですが、なかなか物事が進みません。
企画案は外部から持ち込まれたものがあり、検討するのですが、どうも煮え切らない雰囲気です。

このチームは、それぞれが独立して仕事を行うプロの集団で、それぞれ仕事に対してはプライドがあり、譲れない部分も持っています。

こういう場合、率直にそれを話し合っていくのが大事なのですが、お互いに遠慮や配慮が混じり合い、本音の話ができない状態です。
筆者はファシリテーター役ですが、こういうシーンでは無理に物事を進めるということはしません。
そこにある空気感がどうなのかをまず伝えます。「なんだか、重いですね」「口ごもる感じがありますね」などと実況中継をするのです。そうすると、この会議全体にある空気感をメンバー全体で自覚、共有することができます。
不思議なもので、自覚、共有しだすとそれを打開しようとする動きが起こってきます。

結局「お互いをもっと知るのが大事なのではないか」という展開になり、筆者はあるワークを提供することになりました。

人生を語り合うその人が存在する背景には、当然のことながらその人の人生が存在しています。
しかし、何年も知り合っていながら、真の意味でその人を理解しているかと言ったら、そうではないことが一般的ではないでしょうか。
また逆に、知り合って間もないのに何かがきっかけでぐっとその人が近くなる経験をお持ちの方も多いと思います。

そのぐっと近くなる経験を意図的に作ってしまおうというのが今回のワークの目的です。

行ったワークは、「人生曲線を描く」。
A4 のコピー用紙(基本的にサイズはなんでもよい)を横に置き、真ん中に横線を長く引き、左端に縦線を引きます。横軸は時間(年齢)、縦軸は満足度(充実度)を表します。

自分の人生のその時その時のエピソードを思い浮かべながら山あり谷ありの曲線を描いていきます。
そしてその後発表。

人生曲線を描き、発表するのは「自己開示」でもありますので、苦手な方も実は多いのです。
ですので、これを一般の企業で行うときには、細心の注意を払いながら行います。
自分が乗り越えてきた部分だけでよいこと、まだ痛みを伴う事柄は話さなくて良いことなどをルールにします。

しかし、自分の人生を語り、熱心に聴いてもらう経験は早々あることではなく、また心から「聴く」という場を作ってから行うので、自己開示にチャレンジしてくださる方も多いのも事実です。
さて、件のチームメンバーですが、私から見ると権威のある方ばかりで内心どうなることやらと思っていたのですが、蓋を開けてみると、どなたもイキイキとご自身の人生を語ってくださいました。
持ち時間が足りなくて私は時間管理にヒヤヒヤしながらの発表となりました。

聴く側のメンバーも大きくうなずきながらひとりひとりの人生に耳を傾けています。

共感と理解は大きなエネルギーを与えてくれます。
発表する側、聴衆、それぞれの心に何かが灯ります。
「みんな違う人生だけれど、共通しているものもありますね。
起業してすぐに落ちる。
これは集客がうまくいかなかったり、事業に対しての悩みが共通しているからなんでしょうね」

全員の人生曲線を壁に貼り、眺めていた時のメンバーの言葉です。

この瞬間、メンバーはつながり感を強く感じたのではないでしょうか。
その後の飲み会はとても盛り上がったのは言うまでもありませんし、具体的にどう動くのかに気持ちが向き、次回の会議の議題もすんなり決まりました。

人生を聴くことでその人が持っている価値観や価値観を持つに至った背景などを理解すること容易になります。
本当に不思議ですが、理解し合えると、物事の決まり具合、進み具合が早くなるという事が起こってきます。

川添 香(かわぞえ かおる)

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