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Part23 チームのつながり感を取り戻す

組織開発の現場で使う演習にはダイナミックに動くものもあれば、ひたひたと沁みるように作用するものがあります。
そのひとつは仕事についたそもそもの動機、きっかけを語り合う演習です。

福祉関係のI事業所の悩みは職員間のコミュニケーションが悪いこと。
会議で決まったことが実行されなかったり、報連相が滞りサービスに支障が出ていました。

事前インタビューで現状をよく聞いていくと、トップダウンの命令が多く、表立って言われることはないものの部下が上司に対して反発感を持っています。
また影口が横行するなど、人間関係のストレスが大きいことがわかりました。

一方で、入職の動機やきっかけを聞いていくと、瞳を輝かし生き生きと話すメンバーが多く、その内容は感動的ですらあるのです。

組織力向上のプログラムを始めるにあたり、I事業所はこの「そもそものきっかけ、動機」を使ってチームのつながり感を取り戻す取り組みから始めることにしました。
I事業所の歴史は、アットホームな雰囲気を持つ職員10人未満の小さな事業所から始まりました。

しかし、立地条件の良さなどから急成長するにつれ、職員の増員、建物の増築など物理的な要因によってもコミュニケーションが分断されていきました。
また目の前の仕事に追われ、職員同士が話をする機会も時間も奪われています。

そもそも普段の業務時間内では、仕事を志望したきっかけや動機など聞く余裕はありません。
組織開発プログラム第一回目は、大抵メンバーの自己紹介から始まります。
今回は自己紹介の内容にこの仕事を志望したきっかけ、動機紹介を盛り込むことにしました。

志望のきっかけは三人三様ですが根底では共通しています。
人の役に立ちたい、住みやすい社会を作りたい、子供の頃の経験から仕事の重要性を感じているなど人を大事にしたいと思う気持ちが共通項。それに気づいてもらうのが目的です。

一人ひとりの話が進むにつれ、メンバーの表情が柔らかく変わっていくのがわかりました。
人の話に共鳴、共感して涙ぐむメンバーもいます。

感想をシェアする段階で、誰もが、あの人がこんなふうな気持ちや背景を持っていたなんて知らなかった、聞けて良かったと言います。
自分を語ることで初心を確認できたという声、また、人を見る目が変わったとの声も出てきました。

チームの肯定感を上げる

自己肯定感とは、文字通り、自分を自分で肯定できる、する感覚、感情ということです。
これがあることで、自分は大切な存在であるという感覚や自分は大丈夫であるという感覚を持つことができ、チャレンジや苦難に負けない生きるための意欲が生み出されます。

チームとなっても同じことで、メンバーがチームを認めている感覚、メンバーがつながっている感覚、チームの一員である感覚がチームが目的に向かい達成する意欲を生み出します。

チームによっては、意欲よりも安心感や信頼感を取り戻すのが先になります。すでに傷を持っている場合や傷つくのではないかという恐れを持っている場合です。
チームの肯定感は、この人たちとつながっていて大丈夫であるという安心感や、仕事の仲間としての信頼感を醸成します。

I事業所はこの演習で、チームが本来持っていた仕事の目的を共有しなおし、みんな同じなんだという気持ちを確認することが出来ました。
自分だけではないという感覚は肩から力を抜き安心させます。

また「自分たちは○○なチームである」ことを自覚したと言うこともできます。
課題に取り組むにはさらなる演習が必要となりますが、まずは土台が出来上がって来ました。

専門職のチームにはこういった「志の理由」を聞くのが効果的ですが、一般の企業でも十分に機能します。
「志の理由」以外に、入社当時の印象に残る出来事、意欲や願いを聞いていくのです。
入社歴順に聞いていくと会社の歴史そのものになります。

4月は新年度ですね。
新人を迎えるにあたってこのような話を歓迎会の余興に入れても、絆を深めるよい機会となります。

川添 香(かわぞえ かおる)

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