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Part9 多様性を理解し受け入れる

「僕らの国では、24 時間働けると思われていることが痛みなんです」
若い男性が穏やかにそして真顔で言葉を発しました。

これは、ある自治体でワークライフバランスをテーマにワークショップをしたときのこと。
「子どものいる男性」「子どものいない男性」「子どものいる女性」「子供のいない女性」の立場を国に見立て、それぞれの国の痛みは何ですかという問いに「子供のいない男性」の国が答えてくれたものです。

私はファシリテーターとして場を仕切る立場でしたが、この言葉に少なからず衝撃を受けました。
「あ、これは私が無自覚に思っていることかもしれない。」

多様性と違い

私たちはそれぞれ違っていて、違いの集合体が組織である、と頭では理解しているようで、実は自分の世界のルールから抜け出せないことがよくあります。
このルールから抜け出せないと誤解と衝突が起こります。
それは、国の文化を認めないようなもので、外国へ行って日本食がまずいと怒り出すようなものです。

では、なぜ自分の世界のルールから抜け出せないのでしょうか。
これは、私たちが自分独自の世界で生き、他人はそれと違う現実世界で生きているということを自覚することが大変難しいことだからなのです。

私たちは、つい、人も自分も同じ経験をしていると思い込んでしまいがちですし、違いを見たときに、自分のいつものやり方が他人のやり方に脅かされるような感覚に陥ってしまうのです。

多様性を認め、生かし合うということは、まず違いに気付き、その違いについて「正しい」「正しくない」の判断を一旦置いて尊重し、他者からの影響を受け入れ、新しい視点から物事を考えるということなのです。

役割には種類がある

さて、組織には機能するための役割があります。
社長や部長、課長といった役職、総務や営業といった部署は誰から見てもそれとわかる役割で「外的役割」というように呼びます。

一方、潤滑油のように、組織の感情的な欲求を満たす役割もあります。
例えば、飲み会の発起人。
外回りから帰ってきた営業にご苦労さんと真っ先に声をかける人。
何か決定しかかると必ず問題提起する人など。
これを「内的役割」と呼びます。
こちらは実際の職務とはあまり関係がなく、その役割を引き受けた人が果たしています。
これはあの人はこうだからとか、得意だからとかという理由で「誰か」が引き受けるという傾向があります。

冒頭の「子供のいない男性」の国の痛みは、この内的役割を一手に引き受けてきたことによります。
この国の文化は自由でエネルギーがあり、向上心もあるものでしたが、残業して仕事を引き受けるという内的役割に時には苦痛を覚えていたのです。

この役割が、個人、あるいは「子供のいない男性」のように立場と同一化すると問題が起こります。
若い男性=残業を引き受けてくれる元気な人となり、組織はその人にその役割を期待するようになるからです。
疲弊は役割が硬直化すると起こります。
一定の個人や立場が果たす役割が当たり前になり、役割であることに誰も注意を向けなくなります。

疲弊を避けるにはこの役割が果たす重要性を認め、敬意を払うことが必要です。
必要があれば役割を変える決断もしなければなりません。
痛みは「子供のいない男性」の国だけにあるのではありません。
それぞれの国の果たす役割や痛みに気づき、尊重することから生まれる関係性は物事を解決する力を持っています。

川添 香(かわぞえ かおる)

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