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Part26 目の前の人をどう見ているか
先日、若手経営者のI社長とお話させていただいたのですが、「管理職研修と、子育てセミナーと両方出ているのですが、どちらも同じ内容だったのには、びっくりしているんです。」との話題になりました。
人材育成と子育て。実はどちらもマネジメントです。何ら変わることはないと私も常々思っています。
さらに彼は、「やはり、認めるって大事ですよね。よく相談されるのですが、子育て悩んでいる友人には、生まれてきてくれてありがとうと思えとアドバイスするんです。そして、自分自身が社員で悩む時には、この会社に入ってくれてありがとうって思えと戒めているんです。」と続けました。
本当にそのとおり、感謝は人と人との信頼を育んで行きます。
ただし、そう思えないことは、子どもでも部下でもたくさんあるのは世の常。どうやったらI社長のように考えられるのでしょうか。
出発点を整える
I社長のおっしゃったことは、コーチングにも通じていることです。
コーチングを学ぶ際にまず教えられることは「誰も間違っている人はいない」。これをルールNo1と呼び、コーチングの大前提、出発点となります。
でも、どうでしょう。すぐさまそうですね、と受け入れがたいのではないでしょうか。
筆者自身も最初は抵抗を持ちながらも、これを前提にコーチングの勉強を始めました。
すると、いろいろと自分に変化が起きることがわかったのです。
この前提を持っていると、例えば、目の前の人物が自分の考えとは真逆の、批判したくなるような考えを話しだした時にでも、この人はなぜこのようにいうのだろう、という素直な好奇心を持つことができるようになるのです。話に広がりができ、会話に深みが増します。
このルールNo1が正しいか正しくないかはさておき、こういった前提を持つと人を見る目が変わるというのは本当だと思います。
X理論・Y理論
アメリカの経営学者ダグラス・マクレガーが提唱した考え方で有名なX理論・Y理論があります。
<X理論>
「人間は本来なまけたがる生き物で、責任をとりたがらず、放っておくと仕事をしなくなる」という考え方。この場合、命令や強制で管理し、目標が達成できなければ懲罰といった、「アメとムチ」による経営手法となる。
<Y理論>
「人間は本来進んで働きたがる生き物で、自己実現のために自ら行動し、進んで問題解決をする」という考え方。この場合、労働者の自主性を尊重する経営手法となり、労働者が高次元欲求を持っている場合有効である。
簡単に言ってしまえば、性悪説、性善説のようなものですが、私は、人を見る意識の違いだと考えています。
たとえ、どうにもダメなやつだと思っても、一面しか見ていないかもしれないと、いったん自分の考えをおいてみてください。
そして、仮説としてY理論の考え方「人間は本来進んで働きたがる生き物で、自己実現のために自ら行動し、進んで問題解決をする」を根底に置き、叱るのも褒めるのもそこから言葉を発してみましょう。
これは、時間がかかるものです。
ですが、根気よくこの関わり方で関われば、人は必ず変わります。
そのためには、親、上司は物の見方、人の見方の幅を広げることが重要です。それを愛と呼んでも過言ではないと思います。
これに加えて、最近はZ理論が言われるようになっています。これは、X理論、Y理論の良いところを合わせた理論とも言うべきもので、従来の日本型の経営に見られるような「信頼」関係、すなわち縦横のコミュニケーションに注目した理論となっています。