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Part1 成功の循環モデルを回してチーム力を上げる

チームとは何か

チームとは一体何でしょうか。グループとはどう違うのでしょう。グループとは単なる人の集まり、集団のこと。対してチームとは「仲間が思いを一つにして、一つのゴールに向かって進んでゆける組織」のことをいいます。チームである特徴として、

  • ・お互いがお互いをよく知っている
  • ・連帯感がある
  • ・密にコミュニケーションが取れている
  • ・活気がある
  • ・リーダーへの信頼感、メンバーへの信頼感がある
  • ・自分を捨ててでもチームのために尽くせる

などがあります。 これらを形成しているのが個人と個人のつながり、すなわち関係性です。この関係性を作る力が結果を出すチームを作る力となっていきます。

組織の成功循環モデル

バッドサイクル グッドサイクル

関係性についてマサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が興味深い見解を示しています。下図はキム教授が提唱している組織の成功循環モデルです。この循環モデルには、バッドサイクル、グッドサイクルの二つがあります。

業績が悪くなったとき、たいていの組織では営業の訪問回数を増やす、販促イベントを企画するなど結果に直結する行動を変えようとするのではないでしょうか。しかし頑張ったわりには成果が上がらないという負のスパイラルが起きてきます。


★バッドサイクル(青数字)

 結果の質を向上させようと行動を変化させようとするが
 成果(結果の質)は思うように上がらない。
 さらに行動の変化を強要するために指示命令の横行、責任の押し付け合い、対立などが起こる。自己防衛の姿勢がみられるようになり関係性の質が悪化する。
 重要な事実や情報の交換がされなくなり、本音の話し合いもされないので、考えることをやめたり、仕事が面白くないなど思考の質が悪化する。
 自発的、積極的に行動しなくなる。どうやったらうまくいくかと考えずに行動したり、納得しないまま行動するなど行動の質が悪化する。
 さらに結果の質が悪くなる

このバッドサイクルを断ち切る方法としてキム教授は、関係の質に働きかけることが重要だといいます。 結果の質はコントロールしにくく「結果」自体に直接働きかけることはできません。一見遠回りのようですが結果の質を 高めるためには、変化を起こしやすい「関係の質」の改善から始めるのが一番の近道というわけです。


★グッドサイクル(赤数字)

⇒①関係の質を高めることから始める。相互理解を深め、お互いに尊重し、一緒に考える。
⇒②メンバーは自分で気づき、面白いと感じ思考の質が向上する。
⇒③自分で考えられると自発的に行動するようになり行動の質が高まる。
⇒④結果として、結果の質が高まる。
⇒①成果が得られると関係の質が向上する。信頼関係が高まり、さらに関係の質が向上する。

人・モノ・金・情報+関係性

最近、社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)という概念が言われるようになりました。
社会・地域における人々の信頼関係や結びつきを表す概念で、ソーシャル・キャピタルが蓄積された社会では、相互の信頼や協力が得られるため、他人への警戒が少なく、治安・経済・教育・健康・幸福感などに良い影響があり、社会の効率性が高まるとされます。

日本人は和を尊重する文化の中で生きてきたために「関係性」はあまりにも当たり前に存在するもので目を向けることが少なかったのではなかったかと思います。

しかし、日本を取り巻く環境は大きく変化し、当たり前が当たり前でなくなってきたことも事実です。
3.11 以後「絆」が言われるようになりました。
大きな代償を払いましたが、日本人本来の心、感覚を取り戻すきっかけになったのは記憶に新しいところです。

経営資本は人・モノ・金・情報と言われますが、新たに「関係性」を加え、豊かに育てていくことが、これからの企業の将来に明るい道筋を示すことになると私は考えています。
特に、中小企業では秀でた個人の能力を頼みとするのは現実的ではありません。

チームが生み出す関係性の質がこれからの巻き返しの鍵であると言っても過言ではないでしょう。
そのためには、チーム・組織は自らが内包する関係性に自覚的になることが必要です。
メンバー全員が関係性がどのような状態なのかをはっきりと意識に上げた上で、お互いに関わっていくのです。

自らの関係性を明らかにしていくのは恐れも伴いますが、その向こうに結果につながる関係性が見え隠れしています。
勇気をもって最初の一歩を踏み出し、成功循環モデルのサイクルを回し続けることがチーム力向上の秘訣です。

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