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Part21 意図的にチームになる
ノーアイディアからプロジェクトチームが誕生する3回シリーズワークショップの最後です。
これまで「無から生み出す」「自分ごとにする」過程を見てきました。最後はいよいよチームとして動き出すために協働できる関係性を意図的に作っていきます。
チームに見ている可能性の夢
前回のワークショップからすでに一ヶ月が経っています。前回「自分ごとにする」の回では、ワクワク感が人を動かしていくことを書きました。
ワクワク感を持って実際に動き出したチームはどんな状況になっているでしょうか。
まずは前回からの振り返り。
チームごとに状況を聞いていくと、現実の壁にぶつかっているチームがほとんどです。
「時間がなくてミーティングがほとんどできない」
「ミーティングに全員が集まれない」
「支店間でチームを作るとコミュニケーションが取りづらい」
「協力者を募っても誰も手をあげてくれない」
心なしか表情が曇っています。
すでにいろいろな感情がチームにうずまき始めているようです。
モチベーションの低下、不安、不満、小さな対立、苛立ちなどなど。
いわば「負の感情」というべきものです。
会社組織では、感情を持ち込むことはあまり好ましくないと思われがちです。
特に日本人は感情を押し込みがちになりますし、感情を押し殺してことを成し遂げるのが美徳とされる傾向があります。
しかし、この小さく芽生えた「負の感情」はどこかで亀裂を生む原因となってくることも少なくありません。
成し遂げられる可能性があるのに、こんなことで消滅してしまうのはとてももったいないことです。
あまり喜んでやりたくないことではありますが、「負の感情」は小さなうちに見落とさず扱うことがとても大事なのです。
実は可能性の夢はいいことばかりがあるのではありません。
最高のことが成し遂げられるハイドリーム、起こって欲しくない最低のことが起こってしまうロードリームがあります。
そこで、今回のワークショップはチームに内在するロードリーム(最低の夢)、ハイドリーム(最高の夢)は一体どんなものなのかを話し合うことから始めました。
大抵の場合は、ロードリームを話し合うと、そこまではぜんぜん落ちてないねと言う話になります。
ハイとローの間の自分たちがいる現在地の確認ができ、さらにどこに向かっているのか、もう一度メンバー同士で目標を握り直すことにもなります。
落ち着いたところで、それを実行するために必要なチームの関係性について話し合っていきます。
意図的に関係性を作る
学生時代の部活など、チームで目的を達した経験は誰でも持っていると思います。
その時のチームの空気感はどうなっていたでしょうか。
強いつながり感や一体感、なんでもものが言える雰囲気、お互いを思いやる気持ちに満ちていたことが多かったのではないでしょうか。
意図的に関係性を作るとは、そういった空気感、雰囲気をチームに生み出すことをあらかじめ約束していくことです。
・どんな雰囲気をチームで作っていきたいのか
・どんな雰囲気をチームは必要としているのか
・困難な状況になったとき、どんな自分でありたいのか
・それについてお互いの何を信頼するのか
・自分は何に責任を持つのか
この話し合いのプロセスを「チームの意図的な協働関係の構築」と呼んでいます。
このプロセスでは、意図的に自分たちでチームの文化を作っていこうとするコミットメントが生まれてきます。
これは、チームが困難に陥った場合に戻れる拠り所となるものです。
こうして、ハイドリームとロードリームを常に意識しながら行動を起こしていくことのできるしなやかな強さのあるチームの誕生となりました。