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Part6 恐れを乗り越えた先の新天地を見る

恐れを乗り越えた先の新天地を見る

チーム、組織を関係性という視点から向上させるためには、あるときに恐れを越えなければならない時があります。

組織がコーチングを受ける大目的は人間関係を良くして組織としての動きを良くしたいということです。
具体的なテーマを持って始めますが、たいていは真のテーマはぼんやりと隠されています。

経営者(あるいは担当者)が最初に相談に持ってこられるテーマは「お互いの顔がよく見える組織づくりをしたい」「3年後のビジョンを達成できる組織になりたい」「社員のモチベーションを上げたい」「なかなか自ら動こうとしない、言われる仕事しかできない組織」あるいは「このままではいけないと思うのだが、何だかわからない」など様々です。

前回で、組織づくりは組織の全体の姿を把握することから始まると書きました。
今回は全体の姿を把握しだすと、何が起こるのかを書きたいと思います。

コーチングのツールを使いながら、テーマに対する思いをそれぞれ吐露する場面を作ります。
一人ずつ話しやすいところから話してもらうようにしていきます。

それを聞いて、個々人に起こる最初の反応として、みんなこんなふうに感じていたんだ、考えていたんだという表情や声、態度が現れます。
発言に頷いたり、腕組みをして考え込んだり、はっとする表情や、安堵の表情が浮かびます。
筆者はコーチとして、場に起こる反応を見逃さずに、それに対してもっと深く探求するように促していきます。

恐れを越えて新しい自分と対面する

人は誰しも「自分はこういうものだ」という認識を持ちながら生きています。
アイデンティティという言葉で表現しても良いでしょう。

組織自体もアイデンティティを持っています。
主語を「私たち」として表現してみるとよくわかります。
例えば、「私たちは忠実だ」「私たちは誠実だ」「私たちは従順だ」と認識しているとします。

しかし、同時に「私たち」は忠実でない、誠実でない、従順ではない要素も持ち合わせています。
コーチングが進んでいくと、誰かがその「私たちは○○でない」要素を表現する瞬間が訪れます。
まさにそのとき、場に緊張感が走り、一瞬沈黙が起こったり、あるいはクスクスと笑いが起こったりするのです。

これは、今まで自分たちになかった要素を表現しようとする際の恐れや緊張感の現れです。
恐れを乗り越えて言葉となった時、真のテーマが顔を出してきます。
今まで「自分たちでない」と思っていた要素は非常に不器用です。

真のテーマを場に出すとき、感情をあらわにしまいと声が上ずったり、震えたり、顔が紅潮したり、身体に力が入ったりします。
あるいは抑えきれない感情が表出する場合もあります。

こうやって誰かが恐れを超えるとそれに続く人物が現れます。
「我々は本当はこうしたい」という表明です。

この時のコーチの役割は、場が安全であるように支え続けることです。
十分に「自分たちでない要素」を表現してもらい、さらに新しい自分たちの側面を擬似的に経験することで、古いアイデンティティと新しい要素が統合され新しいアイデンティティが誕生していきます。

この場面に遭遇すると、私はいつもアフリカのバッファローを思い出します。
一頭が川に飛び込むと続けて他の一頭が飛び込み、群れ全体が新天地へ向かって移動が始まるあのシーンです。
感動のシーンです。

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