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株式会社 創広 相談役 鈴木誠司さん

株式会社 創広 相談役 鈴木誠司(すずき せいじ)同友会会員
 
なんと、このインタビューの日が 80歳のお誕生日で、
47回目の結婚記念日の鈴木さん!
中央区支部のランチ会ではすっかりおなじみになった「私、お金はあるんです。
ただ遊び方を知らなくてね。誰か遊び方を教えてください」のご挨拶。
一度この背景を聞いてみたいと思っていました。
記念すべきこの日に鈴木さんの人生を引き出すことができたでしょうか。
どうぞみなさまお読みください。

10代での病と横井英樹さんとの出会い
KAO:
鈴木さん、お誕生日おめでとうございます。80 歳なんですね。私の父と同い年ですよ。


鈴木:
ああ、そうなの。あなたのお父さんもそうだろうけど、私の若い頃は戦中戦後の混乱期でね、いろいろ経験しましたよ。いろいろ苦しいように感じたけど今ではいい思い出として記憶に残ってますよ。


KAO:
そうでしょうね。鈴木さんの若い頃のお話を伺わせてください。


鈴木:
私はね、旧制中学1年の時に肺結核やったの。肺結核と言えばね、当時はね、不治の病ですよ。で、療養生活を3年やったの。中学は静岡県下の今では韮山高校という優秀な学校でね、頑張って入ったんですよ。ところが3年も休んだものだから除籍になっちゃって。もう一回入り直したの。


KAO:
3年後に入り直しですか。ということは、周りはみんな3歳下?その頃の3歳って大きいですよね。


鈴木:
だから、親分肌になっちゃってね。みんな慕ってくれてね。学校間のトラブルがあると必ず解決に出向いてましたよ。


KAO:
それは、鈴木さんの資質でもあるでしょうね。


鈴木:
そんなのが好きだったからね(笑)
当時学制が変わったでしょう。私は療養生活で3年ずれてますから20歳の時に大学受験。浪人はできない状況ですよ。だからいい加減な学校入っちゃったなと今でも思うんだけどね(笑)
で、25歳で卒業。我々のころはねぇ、就職難でね。今でも就職難って言うけど、今は選ばなければ仕事はあるんですよ。でも当時の就職難はほんとに仕事がないの。それで困っちゃってね。


KAO:
ほうほう。で、どうしたんですか。


鈴木:
当時付き合っていた彼女のお母さんって人がね、小料理屋をやってたんだよね。ちょうどそこに読売の論説員や早稲田大学の新聞学科の講師もやっていた人が出入りしててね、私を紹介してくれたの。それが縁でね、内外タイムスの子会社の内外スポーツ新聞社に入ったんですよ。
でも、これも経営がうまくいかなくて潰れそうになってね。その潰れそうになった時にあの横井英樹さんが関わってね。ずいぶん可愛がってもらいましたよ。彼のカバン持ちを10年やったね。いろんな一流企業に行きました。名刺もこんなになってね。(手で幅を示す)


KAO:
新聞社に勤めながらということですよね?
横井さんというのは、いろんな評判のある方だと思いますが。


鈴木:
昔はね、のっとり屋なんていうふうに言ったけど、私は悪いと思えなかったんだねー。だって銀行に見放されてどうしようもなくなった人たちが来るんだから。そういう人たちから見れば神様のようなものですよ。ただし、こちらの条件を飲ませるのは横井さんうまかったんだな。
 
一流企業の社長にもよく会いに行きましたよ。普通なら私なんか会えない人物ですよ。最初は嬉し
くてね。
でもね、それでわかったことは、一流企業の社長にとっては横井さんとは来て欲しくない存在だったということ。10年やってみて気づいた。


KAO:
横井さんは鈴木さんにどんな影響を与えていますか?


鈴木:
度胸だけは付いたね。
創広はね、小さい会社でしたけど、講談社とか小学館とか、大きな出版社にも取引口座を持っていてね。普通じゃ考えられないことなんですよ。それができたのもね、理不尽な要求をされたら毅然として向かっていくことができたからなんですよ。
小さくても大きなところと対等でいられたのは、そういうおかげだろうね。


広告代理店創広はこうして生まれた
KAO:
それでは、そろそろ「創広」を始めたお話を聞きたいのですが。


鈴木:
これもね、事業のきっかけはちょっとしたことなの。私の友人に、人はいいんだが会社を創っては潰しをしている人物がいてね、その奥さんが子供を抱えて大変そうだったから広告代理店を出しなさいとアドバスしたんですよ。うちの新聞社から仕事を回せたからね。
文章もすごく上手い人で、銀座の真ん中で事業を始めたんですよ。そのビルっていうのが、貸事務所をやっていてね、バブルの時に地上げにかかってしまったんですよ。それで、私が中に入って交渉したの。
で、その奥さんにもお金が入ってね。
そうしたら、この仕事も好きではないのでやめたいと言い出したんだね。
 
そのころ、私も新聞社では組合と衝突していてね、私からすれば、働きもしないで要求ばかりするなってもんですよ。それで、表向きは組合に追い出される形になって会社をやめちゃった。私の側では、こんな社員と一緒にやっていけるものかという理由ですよ。
 
で、出資金をその女性と半々にして広告代理店の事業に乗り出したというのが始まりですよ。


KAO:
先ほどの小さい会社で大きな出版社に取引口座を持ったというのは?


鈴木:
創広はたった12、3人の会社ですがね、5年で年商60億にしたんですよ。この業界は2,3億あればいいと言われていますからね。この数字はすごいですよ。都内には大小800くらい広告代理店がありますがね、この数字は、講談社、小学館などいち早く全部の大手出版社の取引口
座を持てたから出せた数字なんですよ。


KAO:
大手との取引口座の開設とはそんなに難しいものなんですね。


鈴木:
そうですよ。普通はお金を持って行ってもやってくれない。テレビは別ですがね。


KAO:
ほぅ~。その難しい取引口座を取ることができたのはなぜですか?


鈴木:
新しいビジネスモデルを立てていったの。何でもできる広告代理店を目指した。電通とか博報堂とか大きな会社にはなれませんからね、雑誌に特化した代理店になってトップになろうと決めた。
それで、そういう事業やるから協力してくれと今までつながりのある人たちに頼んだの。
これも新聞社時代に培った人間関係のおかげですよ。
 
私はね、つながりを大事にするの。誰かが困ってると言えばお金貸したりね。そういう人たちが、私が新聞社をやめたのも組合との事情からだとも知ってるし、これからこういう仕事やると言ったらみんな協力してくれた。
 
多種雑多大量の広告をやったね。大量に入れるから仕入れが安いでしょう。いっぺんに100社、150社も来ちゃってね。それで年商60億ですよ。


ビジネスは人対人。金儲けしようと思わないのがコツ
KAO:
人脈は大事ですね。


鈴木:
私ね、大きな焦げ付きを何度か経験してますよ。一度目は6億、二度目は10億。小さなお金は貸して返ってこないのはしょっちゅうのことでね。


KAO:
鈴木さん、淡々と語られていますね。普通なら怒りとか悔しさとかあるんじゃないですか。


鈴木:
そりゃね、自分が納得してやったことだから。だって、そういうの追っかけて裁判やってもないところから取れないでしょ。身から出たサビですよ。


KAO:
なるほど。覚悟がある感じですね。長年やってこられて、ビジネスが成功した秘訣は何だったとお考えですか?


鈴木:
金儲けしようとしてあくせくしないことですよ。私は仕事は人助けだと思ってやっている。
広告を売るっていのうのは人間対人間の付き合い。商売っ気の強いギスギスしたのは私のところに来たってしょうがないの。
ですからね、さっきの10億やられた相手に言われましたよ。ウチがおかしくなったときみんな見
切りをつけて手を引いたけど、こうやって20年も付き合ってくれるのは鈴木さんだけだよなーって。


KAO:
ビジネスとは、お金のつながりではなくて、人と人とのつながりを大事にすることなんですね。


鈴木:
そう。私は常に応援する気持ちを持ってるの。恨まれた友達ってないなぁ。


KAO:
今は、創広の相談役というお立場ですが。


鈴木:
3年前に会社を売って、本当は全面引退したかったんだが、社員が鈴木さんの下だから働くんだと言ってね、ほとんどの社員がやめるという事態になって、すっきりやめるわけにはいかなかったんですよ。
相手の会社も私がいないと抜け殻になるのは分かっているので、もう少し居てくれないかと。今は会長、相談役として残ってますよ。


KAO:
鈴木さん、今日は80歳の誕生日ということで、もし、もう一回80年の人生をやるとしたら何をしますか?


鈴木:
そりゃ、この仕事もう一回やるね。うちの奥さんにはいつまでやるのなんて言われますけどね。
幸いに、お金には困ったことがない人生送ってますけど、最初はね、6畳一間の木造アパートですから。奥さんに6畳一間だけどいいの?って聞いたらいいって言うんだよね。来るやつもくるやつだよね。(笑)そこから始まった。
33で結婚したから、47年になったね。今日が結婚記念日でね。


KAO:
おお、これはこれは。誕生日=結婚記念日ですか。
重ね重ねおめでとうございます。
 
今日は楽しいお話ありがとうございました。


インタビュー所感
鈴木さんのちょっとべらんめぇ調の会話がとても楽しいインタビューでした。お金儲けのコツはお金を儲けることに目的を置くのではないのですね。人助けを積み重ねてきた結果なんでしょう。会話のなかで、奥様のことを話すときはとてもいいお顔になります。
年齢を重ねた素敵なカップルのようですね。これからもお元気で例会においでくださいね。

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