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Part12 人を育てる 組織を育てる

とても感動する映画を見ました。「日本一幸せな従業員をつくる!」~ホテルアソシア名古屋ターミナルの挑戦~というドキュメンタリー映画です。
4 期も赤字が続いたドロ沼状態(ご本人が著書でそう書いている)のホテルをその後7 年続けて黒字を出すホテルへと再生した物語です。
(ホテル自体は平成22 年秋にビルが名古屋新ビルに建て替えられるために営業を終了しました。)
約90 分のストーリーの中で、再生へのポイントはいくつも語られていますが、コーチングの視点から取り上げてみます。

信じる力

突出しているのは、総支配人柴田秋雄さんの人を信じる力、長所を見つめ続ける力です。
ホテルで働く従業員(アルバイトから正社員まで)には障害を持つ人、高校中退の人と様々な人がいますが、柴田さんの視線はいつも暖かく、彼らを誇りに思っていることが伝わってきます。
著書「柴田秋雄のホテル再生物語」の中で、こんなエピソードが書かれています。

人とまともな話ができない青年がいた。(中略)本当にいいかげんな青年だったが、七年勤めているうちに、職場のリーダーになった。(中略)本人も、それまではどこで働いても長続きせず、このホテルも三ヶ月くらいでやめると思っていたよう。
(中略)

なぜこうなったのか。彼の努力もある。周りの従業員たちの理解もあるだろう。
多くの理由があってこうなったのだが、その中の一つに「この青年には必ずいいところがある」と信じて、辛抱強く待ち続けたことが大きい。

人を育てるポイントは、「信・認・任」です。「可能性を信じ、人としての尊厳を認め、仕事を任せることで伸ばす」。
まず最初に「信」がきます。
信じることなしに認めるも任せるもありません。

この話は管理職研修でもよくお話しますが、頭でわかっただけでは「信じ切る」ということができません。
管理者側も怖いのです。信じきって裏切られたら、認めていい気になられたら、任せて失敗されたら。
このような思いが少しでもあると「○○切る」ということができません。
あれができたら信じてやる、これができたら認めてやる、それができたら認めてやる。
こういった姿勢は高いパフォーマンスを出す人材を生み出すことができません。
柴田さんはなぜそれができたのでしょうか。

同じく著書の中でこう書かれています。人は誰もどこかいいところがある───。
この確信は、私の中のどこから生まれたものか。
私は特別に経営を学んだことはない。
高学歴でもない。
岐阜県の恵那に近い片田舎で高校までのんびりと育ち国鉄に就職した。
そして、いつしかホテルの総支配人になって経営を担うようになった。

そんな男がやってこられたのである。
いまはちょっと欠陥が目立つけれど、そのうちきっと芽を出すときがある。
この従業員たちと一緒にやっていけばなんとかなるはずだ。
才能や特別な能力を持っているエリートばかりを集めた精鋭部隊を相手に、私のところの野に咲く連中がどれだけ能力を発揮して善戦するか見てみたい。
(太字は筆者)

見ていただきたいのは太字のところです。
どうしたら相手を信じ切れるのかは、自分をいかに受容しているか、肯定しているか、信頼しているかと同義です。
自分に欠陥があるとしても現状を受け止め、いつか芽を出すときがあると自分を信頼し、仲間を信じ力を合わせることに何の抵抗もない、こういった姿です。

上映会のあとは、元従業員も駆けつけた柴田さんの講演会がセッティングされていました。
柴田さんの眼差しは本当に優しく、元従業員の方は先天の聴覚障害を持っている方でしたが、堂々とスピーチをされていました。
彼女の自己受容力もまた柴田さんが育んだものではなかったかと思います。

※映画 日本一幸せな従業員をつくる!(NPO法人ハートオブミラクル)
※著書 ホテル再生物語 柴田秋雄 (中日新聞社)

川添 香(かわぞえ かおる)

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